タレント、歌手、女優、声優、漫画家などマルチな活動で子供からシニアまで幅広い世代に人気の中川翔子さん(34)。この数年、自身の中学時代の経験をふまえて「いじめ・引きこもり」のテーマと向き合い多数のテレビ番組に出演、今まさにいじめや不登校で悩んでいる十代に向けて命の大切さを訴えている。8日発売の新刊『死ぬんじゃねーぞ!!』は、そんな中川さんが十代で死にたい夜を過ごした先に見つけた気持ちを、文章と漫画で形にしたものだ。

 「私がいじめを受けていたころから20年ぐらいたっているが、いじめはなくなっていない。なんとかしたいとツイッターやブログで発信しても、ネットの情報はすぐに流れてしまう。本なら形に残るし、大人が子供にそっと手渡すこともできる。普段本を読まない子でも読みやすいように、漫画をたくさん描きました」



 地元の公立小学校で漫画やゲームなど自分の好きなものをみんなで仲良く楽しんでいた生活が、えっショック私立の女子中学校に進学して一変、中川さんはいじめのターゲットにされてしまう。絵を描いているだけで「キモい」と避けられたり、靴箱をボコボコにへこまされたり…。同級生からの理不尽ないじめ体験の数々が当時の心象風景とともに率直につづられる。

 「泣いたら負けだ。先生に言うのも負けだし恥ずかしい」と自分を鼓舞し、いじめに耐えて学校に通っていたが、本来なら生徒を守るべき先生からないがしろにされ、これを機に不登校となる。

 「原因は1つではなく、ちょっとずつ積み重なっていく。先生の私への対応は、ちょっとずつついていたガラスのひびが最後まで届いちゃった感じ。世の中でもっとひどいいじめに遭っている子もいるだろうし、同じことをされても平気な子もいるかもしれない。でも、傷つき方はそれぞれ違う。私は先生にとどめを刺された感じがした」

 通信制高校に進み、いじめられることはなくなったが、中学時代のいじめで受けた心の傷はなくならず、2度自殺未遂をする。未遂に終わったのは、母親と飼い猫に助けられたからだ。
https://www.sankei.com/article/20190805-MTYPQQORJNLONMV6K3GG434BTU/