【SS】猫耳娘「人間になれたにゃ!」 勇者「今すぐ猫に戻れ」
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猫耳娘「え」
勇者「猫に戻れ」
猫耳娘「なんで!?」
勇者「なんで? それはこっちのセリフだ」
猫耳娘「そ……」
勇者「なんで人間になった? 誰がいつそんなこと頼んだ?」 猫耳娘「だ、だって! あなた言ってたにゃ! 私とお話してみたいって!」
勇者「ああ、確かに言ったかもな」
猫耳娘「だから、私……頑張ったんだよ? 頑張って人化の術、覚えたにゃ。なのに」シュン
勇者「ん? だからなんで人になる必要があるんだ?」
猫耳娘「え?」
勇者「猫のまま喋ればいいじゃん」
猫耳娘「え……?」 勇者「え? あ、もしかして人化しないと喋れないとか? だったらすまん」
猫耳娘「ううん。喋れるにゃ」
勇者「喋れんのかよ。じゃあますますなんで、人になったんだ?」
猫耳娘「それは……なんというか、様式美にゃ」
勇者「様式美? 誰が言ってたんだそんなこと」
猫耳娘「……この冒険小説に」スッ
勇者「よし燃やそう」ゴォッ!
猫耳娘「待つにゃ!? こんなことで禁呪使うにゃ!!」 勇者「どいてお兄ちゃんがその本燃やせない」ゴォォオオオ
猫耳娘「燃やすにゃ!!! 借り物だから怒られるのは私にゃ!! あとお兄ちゃんでもないにゃ!!」
勇者「チッ」シュゥ…
猫耳娘「なんなのにゃもう……」
勇者「いいか。これだけは言わせてもらうが」
猫耳娘「にゃ?」
勇者「猫耳娘は────猫じゃない」
猫耳娘「え…………?」 勇者「猫耳娘と猫は全く違う」
猫耳娘「違うの?」
勇者「ああ」
猫耳娘「どれくらい?」
勇者「オーストリアとオーストラリアぐらい違う」
猫耳娘「全然違うにゃ。ヤベーにゃ」
勇者「ああ。ヤバいんだ」 猫耳娘「でも、具体的にどう違うにゃ? 猫が好きなら、猫耳娘だって好きじゃにゃいの?」
勇者「そうだな……分かりやすいように、例え話で説明しよう」
猫耳娘「お願いするにゃ」
勇者「ここに、一匹の猫がいたとしよう」
猫耳娘「にゃ」コクリ
勇者「その猫の耳を切り取って」
猫耳娘「に゛ゃッ!?」ビクッ 本を燃やすのに禁呪を使わないといけないとか
この勇者めちゃくちゃ弱いんじゃないか 勇者「どこからか持ってきた人間の耳を代わりにくっ付ける」
猫耳娘「にゃぁぁ……」ブルブル
勇者「そうして生まれた生物を『人間である』と言ったら、お前はどう思う?」
猫耳娘「正気を疑うにゃ」
勇者「そうだ。それくらい、猫耳娘と猫を混同するのは罪深いことなんだ」ウンウン
猫耳娘「違うにゃ。疑ってるのはあなたの正気にゃ」 勇者「まあ今の例えから分かるように、猫耳娘を猫の一種としてカテゴライズするのは間違いだ」
猫耳娘「なるほどにゃー……」
勇者「むしろどちらかと言えば人間に近い。より正確には『ケモミミ』というジャンルだな」
猫耳娘「……まあ、そこまでは分かったにゃ」
勇者「ならよかった」 猫耳娘「でも」
勇者「ん?」
猫耳娘「それなら……勇者は、私のこと嫌いになったにゃ?」
勇者「なんでそうなる」
猫耳娘「だ、だって! 私は、あなたがそんなにも猫耳娘が嫌いって知らなくて!」 勇者「……」
猫耳娘「なのに、私はそんなことも知らずに、人化の術を覚えて……あなたが喜んでくれるかもなんて、無神経なことしちゃったにゃ」
勇者「……」
猫耳娘「だから……勇者は、私のこと、もう……」シュン
勇者「馬鹿だな、お前は」ナデナデ
猫耳娘「んにゃっ」ピクッ 猫耳娘「勇者ごちゃごちゃうるさいニャ。犯すニャ!!」押し倒す
勇者「うわっっっっ!」
2人は結ばれてハッピーエンド 勇者「俺がお前のことを嫌いになる訳ないだろ」
猫耳娘「で、でも」
勇者「俺はただ、悲しかっただけだ」
猫耳娘「え?」
勇者「俺は、お前の綺麗な毛並みとか、凛とした顔立ちとか、しなやかな動きとか……そういった色んな所が、すごく魅力的だって、本気でそう思ってたんだ」
猫耳娘「にゃっ。急に……照れるにゃ」 勇者「でも、今日人化したお前の姿を見て、俺のそんな気持ちが伝わってなかったのかと……悲しくなってしまったんだ」
猫耳娘「……」
勇者「ちゃんと言葉にしなかった俺も悪い。だが、これだけは言わせてくれ」
勇者「お前は人になる必要なんてない────ありのままのお前の姿が、一番魅力的なんだ」 猫耳娘「……」
ポンッ
勇者「おっ」
猫又「……にゃ」
勇者「戻ったか」
猫又「戻ったにゃ」 勇者「うん。やっぱりこっちの方がしっくり来るな」
猫又「まったく、仕方ないにゃー勇者は。私のことが本当に好きにゃんだから」フリフリ
勇者「ああ。大好きだぞ」
猫又「にゃっ! そ、そんにゃこと言って、私はそんにゃので機嫌がとれるほど安い猫じゃにゃい……」フリフリフリフリ
勇者「だからモフらせろ」
猫又「え」
ガバッ
勇者「うおおおおおおおお!!!」モフモフモフモフ
猫又「に゛ゃぁああああッッッ!!?!?」ピーンッ 勇者「猫成分補給ッ! 猫成分補給ッ! 猫成分補給ッ! 猫成分補給ッ!」クンカクンカスーハースーハー
猫又「んにゃっ! ちょっ!? やめるにゃ!! せっかく毛繕いしたのが崩れるにゃあ!!」ジタバタ
勇者「あーんもーかわいいでちゅねー♡ もふもふでちゅねー♡ よーしよしよしよし……」ナデナデナデナデ
猫又「やめっ、やめるにゃ……撫でるにゃあ……っ!」モゾモゾ
勇者「なんだこの尻尾は! 誘ってんのかッ! けしからん猫めっ! こうしてやる!」モミモミ
猫又「にゃぁぁあ…………」
勇者「うへへへへ……♪」スリスリ
猫又「…………まったくもう」ハァ [翌日]
猫又「は?」ピキッ
勇者「という訳で、このパーティの新メンバーとして加入してもらったんだ」
猫獣人「よろしくにゃー♪」フリフリ
猫又「はぁぁあああああ!!!?!?」
勇者「じゃあさっそく次の……」
猫又「ちょぉーーっと待つにゃ!! おかしいでしょ!?」 勇者「何がだ」
猫又「私という猫がありながら! ……じゃなくて、猫耳娘は嫌いにゃんじゃなかったの!?」
勇者「え? いや、嫌いだなんて言ってないぞ」
猫又「はあ!? 猫耳娘より猫の私が好きって、あんなにも愛を囁いてくれたじゃにゃい!! 嘘つき!!」
勇者「嘘じゃない。俺が言ったのは猫耳娘と猫は別物、ということだけだ」
猫又「え」 勇者「そもそも、両者は優劣を付けられるもんじゃない。猫耳娘には猫耳娘の、猫は猫の良さがある。俺はどっちも好きだ」
猫又「」
猫獣人「ねー。もしかしたらアタシ、お邪魔虫にゃ? やっぱり入らない方がいい?」
勇者「そんな訳ないだろ。俺たちにはお前の力が必要だ。頼りにしてるぞ」
猫獣人「うん! にゃふふっ。"また" 口説かれちゃったにゃー♪」チラッ
猫又「!」 猫獣人「じゃあ今夜、懇親会でもしにゃい? ペット入店は不可だけど、すごく美味しいお酒が飲めるお店を知ってるにゃ」ピトッ
勇者「お、おう」
猫又「このッ……!! 勇者からはなれるにゃ!! この泥棒猫!!」フシャーッ
猫獣人「猫はそっちにゃー」
勇者「おいおい、仲良くしてくれよ」
猫又「どの口が言うにゃ! この猫タラシ!」
勇者「へへっ」テレテレ
猫又「褒めて!! にゃいッ!!」 勇者「それじゃ、これからはこの3名で頑張って行くぞ」
猫獣人「よろしくにゃー。小猫チャン♪」
猫又「……」
猫又「…………なんて」
勇者「ん?」
猫又「────猫耳娘なんて、嫌いにゃぁぁああああ!!!!」
-完- 久しぶりにvipでSS読んでるな
ジャンク感がたまらん 以上です。ねこかわいいですよろしくおねがいします。
昨日投稿したSSを宣伝するついでに書いてみました。良かったらこっちも読んでね。
【SS】勇者「咀嚼スキル?」
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