村娘「大雪すぎるんで雪女シバきに行く」
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雪女宅
村娘「そいや! たのもー」
雪女「誰……?」
村娘「麓の里のもんです。雪に埋め立てられたので命を頂戴しに来ました」
雪女「え……」
村娘「その前に上がらせて。おおさぶどっこいしょー」
雪女「ええー……」 村娘「なんか意外とあったかいね。コタツがあるとかたまんないね」
雪女「あのーどういうことかは知らないですけど、これ飲んだら帰っていただけたらと……」
村娘「え? ごめんよく聞こえなかった。雪かきの時の筋肉痛がひどくて」
雪女「それ聴覚に関係ありますかね……?」
村娘「なにこれルイボスティー? おいしいねー」
雪女「まず聞く気からないんですね……」 村娘「まあ聞いてよ」
雪女「こういう人ほど自分の話は押し通す……」
村娘「あんたは知ってるかわからないけど、今下界は大雪でやられちゃってんの」
雪女「まあニュースで見ましたけども……」
村娘「そしたら里の占いババアがさ」
占いババア『山のモノノケのタタリじゃ!』
村娘「ってさ」 村娘「こうも言うわけ」
占いババア『生娘じゃ! 生娘を贄として捧げるのじゃ! 然らずんばさらなるタタリがヒノモトを蝕むであろう……』
雪女「はあ……」
村娘「ねー困るよねー。なんなの謎の生娘推し」
雪女「ていうかいつの時代ですか……」
村娘「ウチらはイマのリアルに生きてるのにねー」 村娘「で、まあそういうわけでお命頂戴!」
雪女「タイム……」
村娘「なあに? いいところなのに」
雪女「あなた生贄じゃないんですか……?」
村娘「そうね」
雪女「だったらなんでわたしの命狙うんですか……」
村娘「だってシャクでしょ。クソババアの言いなりなんて」
雪女「でも……」
村娘「あのババアいまだにスマホ操作もおぼつかないんだよ? ダッサ!」
雪女「知りませんよ……」 雪女「何にしろ帰ってください……大雪はわたしのせいじゃありません……」
村娘「そんなのどうでもいいよー。ウチだって生娘じゃないもん」
占いババア『えっ』
雪女「それは見た目で何となくわかりますが……」
占いババア『……マジで?』
雪女「失礼ながらあなたは若者を知らなさすぎかと……」
村娘「ちょっとーここにいない人と話すのやめてもらえる?」 村娘「とりあえずわかったでしょ? ウチは手ぶらでは帰れないの」
雪女「不適格な人がなぜか来て無茶苦茶やろうとしていることしかわかりません……」
村娘「ってなわけでお命頂戴!」
雪女「命はあげませんがお気の済むまでどうぞ……」
村娘「くぬ! くぬ!」
雪女「アイスピックの先がこそばゆい……」
村娘「なんで刺さらないの! こんだけ尖ってるのに!」
雪女「執拗に目を狙ってくるのは怖い……」 村娘「ぜい、はあ……」
雪女「気は済みましたか……?」
村娘「うん。なんか死なないね。なんで?」
雪女「一応モノノケなので……生娘はいりませんが……」
村娘「困ったな、心臓に杭でも刺さなきゃダメ?」
雪女「わたし吸血鬼じゃないです……」
村娘「波紋の呼吸ならできるんだけど」
雪女「吸血鬼じゃないんですって……」
村娘「偶然ヨガで身につけたってのにどこでいかせばいいのさ」
雪女「聞かれても……」 村娘「で、ウチはどうすれば」
雪女「だから帰ってくださいとしか……」
村娘「つっても自分をモノノケに差し出した村にどんな顔して戻ればいいのよ」
雪女「照れ笑いとか……」
村娘「くっそー全員アイスピックでブッスブスにしてやる」
占いババア『村娘……村娘よ……聞こえるか……?』
村娘「手始めにてりゃあ!」
占いババア『ぎゃああ!』 占いババア『あああ鼻の穴が増えたぁ……』
村娘「うるせえキチガイババア! あんたが変な電波受信しなけりゃウチは今もまだ家でのんびりできてたんだ!」
占いババア『ううう……』
雪女「ええと……」
村娘「で? なんで化けて出たの? ついに死んだの?」
占いババア『それは違う。ワシは今村の祈祷場からお前に語りかけておる』
村娘「へー」
占いババア『急に鼻血を流し始めたゆえ周りの者が引いておるぞ』
村娘「それは面白いもっと刺しとこう」
占いババア『みぎゃああ!』
雪女「きっと向こうはちょっとした騒動なんでしょうね……」 村娘「で、なに? なんか用?」
占いババア『あ、新たな神託が下ったゆえ……早う伝えねばと……』
村娘「だったらスマホにしてよ」
占いババア『だって使い方わからんもん』
村娘「そうだった。これだから年寄りは……」
雪女「新たな神託って……?」
占いババア『うむ。吉報じゃ』
村娘「吉報ぅ……?」
占いババア『聞いて驚け。あの予言は間違っておった』
村娘「へー……」
占いババア『反応薄いのう?』 村娘「一応聞くけどなにがどう間違ってたの?」
占いババア『モノノケのタタリではなかったということじゃ』
村娘「じゃあ何なの」
占いババア『うむ、宇宙人が起こした超常現象じゃ』
村娘「よし死ねクソババア」
占いババア『うぎゃあああ!』 占いババア『本当なんじゃて! マジなんじゃて!』
村娘「一度予言を撤回した呪術師の言葉に重みはないんだよバーカ!」
占いババア『うぐぐっ……!』
雪女「あのぅ……」
村娘「何?」
雪女「わたしの疑いは晴れたってことですよね……? それなら帰っていただけると……」
村娘「は?」
雪女「え……?」
村娘「何言ってんの、乗りかかった船じゃん。最後まで付き合ってよ」
雪女「ええー……」 占いババア『お、そういうことなら頼むぞよ』
雪女「そんな……嫌ですよぅ……」
村娘「で、どこ行けばいいの?」
占いババア『もっと山奥の方じゃな。正確な場所は後で送る』
村娘「あーいよ。了解ー」
雪女「誰かわたしの言葉を聞いて……」
村娘「うっさいなあ、顔暗すぎなんだよ。さっさと出発出発」
雪女「顔のことまで言わなくたっていいじゃないですかぁ……」 山奥
村娘「風が強くなってきたね」
雪女「目的地はまだですか……?」
村娘「もう少し。ったく、送られてきた地図の画像ボケボケじゃないの。おのれババアめ」
雪女「ねえ……アレなんでしょう……?」
村娘「マンモスでしょ?」
雪女「マンモス……ですよねえ……」
村娘「毛皮をまとった男たちが追っかけまわしてるしきっとそうだよ」
雪女「問題はなんでそんなのが現代にいるのかってことですが……」
村娘「気にしない気にしない。どうせすぐわかる」
雪女「そうですか……?」
村娘「ムカつくけどクソババアは二度も予言は外さないから」 雪女「あれは何でしょう……」
宇宙人「オロオロ……オロオロ……」
村娘「わかりやすくオタついてるね。あれでしょ。おーい。ヤッホー」 宇宙人「!」
村娘「ヘイ、ウチ地球人。オーケー?」
宇宙人「オーケー、アンド、ヘルプミー……!」
村娘「なになに?」
宇宙人「Ah……Ah……」
村娘「落ち着いてゆっくり話して」
宇宙人「とりあえずあれ見て」
雪女「英語は……?」
宇宙人「あれ見てプリーズ」
雪女「いや、取ってつけなくてもいいです……」 村娘「なにあれ」
宇宙人「ぼくの宇宙船」
雪女「その横のは……?」
宇宙人「時空の裂け目……」
村娘「どういうこと?」
宇宙人「ぼくの宇宙船、墜落。衝撃。穴、メキメキ、ずしゃあ! メロンチョ」
雪女(メロンチョ……?)
宇宙人「空いた穴、太古の風」
村娘「ははーん、なるほど」
雪女「わかったんですか……?」 村娘「要するにこの人の宇宙船墜落で過去と現在をつなぐ穴が開いたってことだね」
雪女「合ってるんですか……?」
宇宙人「うん。完璧」
雪女「メロンチョは……?」
宇宙人「?」
村娘「つながったのは氷河期かな。マンモスいたし。今年の大雪の原因もそれでしょ」
雪女「メロンチョは……」 村娘「さーて原因はわかった。あとはどう片付けるかだね」
宇宙人「宇宙船、時空修復機能ある」
村娘「うわ便利」
宇宙人「でも宇宙船、全壊……」
雪女「直せないんですか……?」
宇宙人「自己修復機能ある。でも燃料ない……」
村娘「燃料って?」
宇宙人「主にソーラーエナジィ」
村娘「あー、この天気じゃねえ」 村娘「どうする? 自転車でもこぐ?」
雪女「ないでしょ自転車……」
宇宙人「船の中、自転車ある」
村娘「よし、こごう」
宇宙人「エナジィ充填まで、残りペダル回転時間三億八千四百万とんで十一年」
村娘「やってられっか!」 村娘「くっそー、ここまで来てお手上げ?」
宇宙人「太陽光さえあれば……」
雪女「吹雪いてきました……」
村娘「さっむ!」
宇宙人「太陽光さえあればー!」
雪女「宇宙人さんは元気ですね……」
村娘「寒い! 死んじゃう!」
宇宙人「地球のみんな! オラに太陽光を分けてくれー!」
雪女「それは太陽に頼むべきじゃないでしょうか……」 村娘「もうだめ眠い……」
雪女「しっかりしてください……」
村娘「ウチ疲れた……」
雪女「ほら、気を確かに……あなたは村に帰るんでしょう……?」
村娘「もういいよ。今までありがとうね。アイスピックなんかで刺そうとしてごめんね……」
雪女「待って……目を開けて……返事をして……」
宇宙人「光るー雲を突き抜けフライアウェーイ!!」
雪女「うるさい! あなたは黙ってて!」
宇宙人「はい」 雪女「待っててください! 今わたしがこの吹雪をぶっ飛ばしてやります!」
宇宙人「できる?」
雪女「できません! でもやります! この子を助けるためならなんだって!」
宇宙人「おお……」
雪女「行きます! わたしの全力を! この雪雲に!」
宇宙人「BGMいる?」
雪女「いらない! もういいから静かにしてて!」
宇宙人「はーい……」 雪女「ぐぬぬぬ……! えーい!」
宇宙人「雲に、切れ目が……」
雪女(……ダメだ、小さい)
宇宙人「……また閉じた」
雪女「……うう、グス……うわーん!」
村娘「うーん……」
雪女「……!?」 村娘「おはよー……」
雪女「起きた……?」
村娘「うんむ、起きた。よく寝たー……」
雪女「うわーん! よかった! よかったよお!」
村娘「ごめんね。ウチってば疲れたらどこでも寝ちゃうから」
雪女「心配させないでください!」
村娘「でも大事なことも思い出したよー」
雪女「大事なこと……?」
……
… 村娘「山吹色の波紋疾走!」
宇宙人「スゴイ! エナジィ満タン!」
雪女「そういえば太陽属性でしたっけ……」
村娘「やっておくもんだね、ヨガ」
雪女「普通は身に付きませんが……」
宇宙人「これで裂け目も直せるヨ! すぐに取りかかるアル!」
村娘「よかったーこれで村に帰れるー」
雪女(最後まで宇宙人さんのキャラが謎だった) 雪女「こうしてわたしたちの短い旅?は終わりました……」 村娘「今度こそお別れだね。ありがとうね」
雪女「いいえ……楽しかったです……」
村娘「だったらもっと明るい顔しなよ」
雪女「だってえ……」
村娘「泣かない泣かない。また遊びに来るからさっ」
雪女「あなただって泣きそうじゃないですか……」
村娘「これは雪が目に入っただけ……!」
雪女「待ってます……いつでも遊びに来てください……」
村娘「うん。じゃあね」 雪女「行っちゃった……」
雪女「また山に一人ぼっち……」
?「もし」
雪女「はい……?」
?「あいすまぬがこのあたりでマンモスを見かけはしなかっただろうか」
雪女「え……」
原始人「追っている途中で見失ってしまったのだ」
雪女「えー……」 占いババア『聞こえるかモノノケよ』
雪女「あー、はい……」
占いババア『手短に言う。マンモス怖い。助けて』
雪女「大体察しました……今から村の方に向かいます……」
占いババア『村娘が頑張っておるが長くはもたん。早めに頼む』
雪女「間に合うといいですが……」
宇宙人「フハハハハ! 俺の船に乗れぃ雪女!」
雪女「もうあなたのキャラにはとやかく言いません……急いでください……」
宇宙人「では爆進ー!」
雪女「はあ……」
終 こういうのでいいんだよ昔ながらの良きssを見せてもろうた ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています