0001以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/11(金) 23:02:15.251ID:86JidUSR0
※このSSはフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
かなり長いので、飲み物でも飲みながらのんびりとお付き合いください
勇者「ああ、そうだな。俺にはお前らの事情も気持ちも分からんし、理解するつもりもない」
ぷち代「……」
勇者「だけど……お前らがそうやって、『救って欲しい』と。不器用な態度で示してんなら、無視するわけにはいかねぇだろ」
ぷち代「……ダメよ。アタシは、もう」
勇者「受け入れ難いのは分かってる。維持を張って、臆病になって……いろんなしがらみが、お前を縛り付けているんだろうな」
ぷち代「……」
0124以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 01:22:09.348ID:9EUoV+fe0
勇者「だから、俺は咀嚼しなきゃならない。《咀嚼勇者》として、この国だけじゃなく、お前たちも救うためにな」
ぷち代「咀嚼って……なにを?」
勇者「決まってるだろ。この勝負における一番の要は、お前自身の想いだ。だから」
勇者「俺がお前の────『心』を咀嚼してやるよ」
ぷち代「っ!!!」ドキッ
勇者「……」
ぷち代「…………驚いた。あなた、よくそんなセリフ真顔で言えるわね」
勇者「言うな。俺は今必死に羞恥を抑え込んでいる」
ぷち代「ふふっ。随分と情熱的で、素敵なアプローチだったわよ?」ニヤッ
勇者「やめろ!!」
ぷち代「……だけど、ダメね。どれだけ言葉を重ねようとも、所詮はアタシに勝てないアゴ弱者の戯れ言。そんなものじゃ、アタシの気持ちを変えることは出来ない」
ぷち代「……まあ、でも」
ぷち代「もし、あなたに何かしらの秘策があって」チラッ
ぷち代「この私を超えるほどの咀嚼力を見せつけて」チラッ
ぷち代「私に負けを認めさせる……本当にそんなことが出来たなら、そのときは私も、考えを改める必要があるわね?」チラッチラッチラッ
勇者「いやめっちゃ分かりやすいなお前」
ぷち代「い、いいからっ! 出来るの!? 出来ないの!?」
勇者「はいはい。それじゃ、お望み通り見せてやるよ。俺の……全身全霊の咀嚼をな」
ガササッ
勇者「行くぜッ! 最終アゴ奥義────《サンライト・ジョー》ッッッ!!!」パクッ
ぷち代「!!!」
ジュッ
ぷち代「────えっ?」
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
ぷち代「ちょっ……!」
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
ぷち代「ま、待って」
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
勇者「はい次」パクッ
ジュッ
勇者「はいつ──」
ぷち代「待ちなさいってば!!!!」ガシッ
勇者「なんだよ」
ぷち代「それはこっちのセリフよ!! あなた一体何をしてるの!?」
勇者「何って……咀嚼だが?」
ぷち代「咀嚼!? 嘘言わないでよ!! あなたのアゴ、全く動いていないじゃない!!」
勇者「いや、動いてるぞ。よく見てみろ」
ぷち代「何言って────ああッ!!?」
────…
ぷち代「う、動いてるッ!! 無音かつあまりにも高速で動いていたから、一見止まっているように見えたけど……確かに! あなたのアゴは今ッ!! 動いているッ!!!」
勇者「な? だから言っただろ」────…
ぷち代「す、すごい……! これだけでも分かる。あなたの、卓越したアゴ操作技術……ッ!」
ぷち代「だけど、それだけじゃまだ説明が付かない。さっきの、あの何かが一瞬にして焼き切れるような音は一体……?」
勇者「分からなかったか? ならもう一度」パクッ
ジュッ
ぷち代「ッッッ!!?!?」ビクッ!!
勇者「どうだ?」────…
ぷち代「そ、そんな……まさか。ありえない……! ……けど、そうとしか、説明が付かない……ッ!」ガタガタ
勇者「…………」パクッ ジュッ
ぷち代「かッ……核融合ッッッ!!!!! 音速を超え、光に迫る速度で行われる咀嚼!! それによって生じる極高温の熱によってもたらされる、口腔内の唾液のプラズマ化!! そしてそれらのプラズマをソニックブームで圧縮することによって始まる、唾液の核融合反応ッッッ!!! そこから生じる膨大な熱量でもって、口に入れたソフトキャンディを一瞬で溶かし、消失させているというのねッ!!?」
勇者「…………」パクッ ジュッ
ぷち代「それはまさに、アゴに包まれた一口サイズの太陽ッ!! 故に陽光! だからサンライト! 口に含んだ瞬間に咀嚼が完了するという、理論上最速のアゴ!! その咀嚼効率──SPS(Sosyaku Per Second)はアタシの《閻魔の舌法》の比じゃないわ!!」
勇者「…………」パクッ ジュッ
ぷち代「……だけど、まだひとつ、理解出来ないことがるわ。これほどの熱量、全てを使い切るのは不可能なはず。咀嚼に使用されなかった余剰分の熱は膨大で、それが口腔内の粘膜を焼き焦がしていてもおかしくない。しかし、実際にはそうなっていない。一体どのようにして、アゴ太陽の熱からアゴを保護しているというの……!?」
勇者「ふっ。それは……こいつの力だよ」────…
ぷち代「え? ……そ、それは! クースの超刺激味グミ!? どんなに冷酷な拷問官でも使用を躊躇するという、史上最悪の劇物グミが、どうしてここに……!?」ゾゾゾッ
勇者「マジかよ。あいつなんてもん人に食わせてんだ」────…
ぷち代「いや……そ、そういうこと? つまりあなたは、その強酸グミの強烈な酸味をあえて口に含むことで、唾液の分泌量を更にブーストしているというの!? そして、その唾液で舌やアゴをコーティングし、核融合反応の熱量が直接触れないようにプロテクトしている……そういうことだったのねッ!?」
勇者「そう。これこそが改良版アゴ奥義────《ナイアガラの涎瀑布》だ」────…
0134以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 01:33:04.803ID:eZYa9bTZ0
ぷっちょ美味しいよね
ぷち代「か、完璧……完璧だわ。速度も安全性もこれ以上ないほどに高められた、まさにアゴの中のアゴ……。まさか、アタシのアゴ奥義以上に完成されたアゴがこの世に存在したなんて……」フラフラ
勇者「どうだ。流石のお前も、このSPSには追い付けまい。この勝負、俺の──」
ぷち代「勝ちだ。…………とでも言うつもり?」
勇者「……」
ぷち代「忘れたの? この決闘で競うのは、食べる速さじゃない。量よ。どれだけ精巧なアゴを持とうと、無限大の量のソフトキャンディを咀嚼出来なければ、戦いの土俵にすら立てないのよ。なにせこの勝負は、どちらかが負けを認めるまで永遠に続くのだから……」
勇者「いや、違うな」
ぷち代「え?」
勇者「この決闘は、無限には続かない。明確な終わりが存在する」
ぷち代「……はぁ? 何言ってるの? 私は無限に咀嚼できるのよ。終わる訳ないじゃない」
勇者「いや、終わる。確かに、お前の咀嚼量は無限大……だが、ソフトキャンディの方はどうかな?」
ぷち代「! ま、まさか……!」
勇者「無限に食べられる食品……そんなものは存在しない。どんなものにも必ず、上限がある。このソフトキャンディの山を食べ尽くしたなら、決闘は続行不可能。その時点でより多く食べた方の勝ち……これが、もう一つの勝利条件だ」
ぷち代「正気なの!? 確かに、このソフトキャンディは本当の意味で無限ではない……けど! それでも十分過ぎるほどの量を用意してあるのよ!? それこそ、あなたの体重の何十倍にもなる量を!! それを一気に摂取なんてしたら……!」
勇者「ああ、そうだな。俺はこの戦いが終わったら────」
勇者「糖尿病になるだろうな」
ぷち代「いやそれで済む訳ないでしょ!!!? 死ぬわよ!!!?!?」
0138以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 01:36:41.244ID:p6yZCv7K0
わろた
勇者「え? 死ぬの?」
ぷち代「当たり前でしょうが!! あなたはアタシと違って、インスリンの分泌量も代謝速度も常人レベルなのよ!? そんな身体でその奥義を使い続けたら、エネルギー摂取量が消費量を上回って、そのまま限界を超えて死ぬわよ!?」
勇者「そっか……まあ別に」スッ
ぷち代「よくないッ!! なおも食おうとするな!! サイコパスなの!!?」ガシッ
勇者「いやそんなこと言われても、食わんと勝てんし……」グググ…
0140以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 01:37:53.344ID:eZYa9bTZ0
バロス
ぷち代「負けず嫌いにも程があるでしょ!!? やめてよね!! このままだと私は自分の部屋で赤の他人がソフトキャンディ食べ続けて破裂する自殺ショーを観ることになるのよ!? なによその地獄!! おかしいでしょ!!?」グググ…
勇者「お前が地獄の決闘だって言ったんだろ」グググ…
ぷち代「そういう意味の地獄じゃ、ないッ!!!」グググ…
勇者「…………はあ。分かったよ。一旦食うのはやめてやる」
ぷち代「はぁ……はぁ……ほんとにもう──」
勇者「とみせかけて食うッッッ!!!!!!」シュバババババババ
ぷち代「い、いやぁあああああッッッ!!!?」
勇者「はい次はい次はい次はい次はい次はい次はい次」ジュジュジュジュジュジュジュッ
ぷち代「ちょっ!? 待って!! やめっ、やめてぇぇええええッッッ!!!!」
勇者「はい次はい次はい次はい次はい次はい次はい次」ジュジュジュジュジュジュジュッ
ぷち代「分かった!! 分かったからぁっ!! 私の負け!! 負けでいいからぁ!! だからやめてぇぇええッッ!!!!!」ビェェエエン
勇者「……本当だな?」ピタッ
ぷち代「ふぇっ?」ビクッ
勇者「二言はないな?」
ぷち代「え……あ、えっと、その。今のは言葉のあやというか……!」アセアセ
勇者「なるほど?」パクッ ジュッ
ぷち代「嘘ですごめんなさいッ!!!! アタシの負けです!!! 調子乗ってすみませんでしたぁ!!!!」ドゲザーッ
勇者「ならばよし」
ぷち代「ぐすっ……うぅ……こんなのってないわよぉ……」シクシク
勇者「何はともあれ、これで俺の勝ちだな。ぷち代」
ぷち代「もういいわよそれでぇ……」シクシク
勇者「じゃ、復讐もやめてくれるな?」
ぷち代「…………」
勇者「ぷち代?」
ぷち代「…………やっぱり、納得行かない」ムスッ
勇者「おいおい、勘弁してくれよ。これ以上なにをしろってんだ」
ぷち代「…………」
勇者「仕方ない。もう百個くらい食って……」スッ
ぷち代「それはもういいから!!! ……そうじゃなくて、えっと」
勇者「なんだよ」
ぷち代「……………………ユウハ」
勇者「ん?」
ぷち代「布丁有玻(ぷちょう ゆうは)。……アタシの名前よ」
勇者「え? ぷち代が名前じゃなかったのか?」
ぷち代「そんな訳ないでしょ!? どんな名前よ!! ぷち代はあだ名!!」
勇者「お、おう。すまん」
ぷち代「だから……えっと、その…………ユウハって、呼んでくれてもいいわ。そうしたら、復讐をやめてあげても──」
勇者「え? 急に距離詰めてくるじゃん。どうした?」
ぷち代「〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!」ゲシッゲシッゲシッ!!!
勇者「いたっ!? 痛い痛い!! ごめん!! からかってごめんって!! ユウハ!」
ぷち代「…………」ピタッ
勇者「ユウハ? あー、えっと……ユウハ。これでいいか?」
ぷち代「…………」
ユウハ「しょ、しょうがないわねぇ……! まあ、及第点くらいは? あげてもいいかなー……なんて」ニヨニヨ
勇者「あ、うん。すごく分かりやすい反応をありがとう」
ユウハ「うっさいわね! そこは気付かないフリしなさいよ!」
勇者「いやー無理」
ユウハ「あ、あなたねぇ……!」ヒクヒク
勇者「はいはい。それで? 復讐はもういいのか?」
ユウハ「……そうね。なんか、どうでもよくなっちゃったわ」
勇者「そうか。ならいいけど」
ユウハ「色々と疲れたけど、気分はすっきりしてるし……ほんと、どうしてあそこまで復讐したがってたのか、我ながら不思議に思うくらいよ」
勇者「……まあ、復讐っつーか、お前は最初から……」
ユウハ「なに?」
勇者「……いや別に」
ユウハ「ふぅん?」
勇者「……」
ユウハ「……まあ、でもそうね。もしかしたら、アタシはあなたに、ソフトキャンディと一緒に────」
ユウハ「アタシの『心』まで、咀嚼されちゃったってことなのかもね?」
勇者「…………」
ユウハ「…………なんか言いなさいよ」
勇者「…………いや、そのっ……すま、ん……っ!」プルプル
ユウハ「笑うなぁーーーっ!! あなたの言ったセリフでしょうが!!!」
0150以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 01:48:48.870ID:9EUoV+fe0
Part4 は以上です。10分休憩したら投稿を再開します。
次は Last Part エピローグ です。
0151以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 01:58:22.452ID:9EUoV+fe0
[王城]
王様「咀嚼勇者よ。よくぞ戻った」
勇者「うす」
王様「して、首尾は如何に? ユーファ味覚党の幹部らを討伐し、その野望を阻止することは出来たのか?」
勇者「そうですね。出来たといえば出来たというか……まあ少なくとも、復讐とかはもうしてこないと思いますよ」
王様「ふむ。復讐とな?」
勇者「あー、その辺は話すと長くなるんで、あとで報告書提出するんで、それ読んどいてください」
王様「ふむ。まあ、いいだろう」
勇者「それで……これは俺の独断なんで、どんなお叱りでも受ける覚悟ではありますが……」
王様「なんだ。申してみよ」
勇者「倒した幹部3人ですが……改心したみたいなんで仲間にしちゃいました」
王様「なんと!」
勇者「あ、正確には2人と100人です」
王様「な、なんと?」
勇者「まあ、その辺も詳しくは報告書に……。で、そいつらなんですが、結構使えますし、その、投獄はずに、出来れば執行猶予くらいで許して頂けると助かりますというか……」
王様「良かろう。ユーファ味覚党の元幹部は全員、無罪放免とする。拠点の取り潰しも保留としよう」
勇者「え? いいんですか? そこまでは……」
王様「構わん。今の我が国は深刻なアゴ不足なのだ。アゴの強い人材を遊ばせる余裕は、ましてや投獄している余裕はないのだよ。使える者は使わねばならん」
勇者「そうですか」
王様「そもそも、其奴らを留め置ける牢屋など存在せぬからな……。ならば、そなたの側に置いておく方がよほど安全だといえるのだ」
勇者「あー……なるほど」
王様「うむ。ではその元幹部らとも協力し、今後も咀嚼勇者としての活動に励むがいい」
勇者「かしこまりました……って、え? 『今後も』?」
王様「うむ」
勇者「ユーファ味覚党の幹部を倒したら終わりじゃなかったんですか……?」
王様「何を言っておる。彼奴らは所詮、この国に巣食うアゴ悪のほんの一部に過ぎん。彼奴らの他にも、《新興宗教》ノーベールの教祖 『沢豆噛亀(さわず かめかめ)』、《堕ちた神》 Hurry Bone(ハリーボーン)が産みし邪龍『シュネッケー』、《愚連隊》武龍盆(ブリュウボン)の特攻隊長『フィット=チーネン』など……悪しき勢力は未だ数多く存在しておる」
勇者「嘘だろ……まだそんなに居んのかよ」
王様「それらの勢力を全て打ち倒し、我が国を真に救った暁には、そなたの名は伝説の咀嚼勇者として、我が国の歴史に未来永劫刻まれるであろう!」
勇者「いや刻まなくていいです。ほんと勘弁してください」
王様「そうか? まあ、当人が望むのであれば……。誠に、当代の咀嚼勇者は謙虚であるな」
勇者「ハハハ……」
王様「では、咀嚼勇者よ。我が国救済の任、受けてくれるな?」
勇者「……まあ、乗り掛かった船ですし。謹んで拝命いたします」チッ
王様「うむ! 期待しておるぞ。伝説の咀嚼勇者よ!」
勇者「…………やっぱマジで一回滅んだ方がいんじゃないかなこの国」
[噴水前通り]
勇者「……」テクテク
「おおーーい! 咀嚼勇者どのーーっ!!」
勇者「お?」
ニンザ「こちら! こちらでござるよ!」ブンブン
勇者「おぉ、ニンザか。どうしたこんな所で」
ニンザ「はっはっは! いやなに、こちらの店のケーキが非常に美味であるとの評判を耳にしたため、幹部一同で賞味に参った次第でござる」
勇者「へー。まあ美味いって評判だよな。ここのケーキ」
ニンザ「全くもってその通りでござ候! 拙者、これほど美味なケーキを食べたのは初めてでござる!」パクパク
勇者「そうか。でも、良いのか?」
ニンザ「何がでござるか?」
勇者「いやなんか、ほら、お前らって柔らかい食べ物を憎んでたような……」
ニンザ「過ぎた話は気にするなでござる! 美味いものは美味いでござる!」
勇者「切り替え早いな!」
ニンザ「それが拙者の美徳でござるからな!」
勇者「……まあお前らしいっちゃらしいけどさ」
ニンザ「はっはっは! ……それに、当の本人があの様子でござるからな」チラッ
勇者「ん?」
ユウハ「おふぁわひっ!!」バッ
勇者「うおっ!?」ビクッ
ユウハ「はむはむはむはむはむはむっ!」モモモモモモモモ
勇者「いや、そこに居たのかよ! 皿の山で見えんかったわ!」
ユウハ「!」
ユウハ「んーふぁ!」パアアッ
勇者「お、おう」
ユウハ「おふぉはっはふぁふぁい! まっへふぁふぉお!」
勇者「いや何言ってんだか全然分からん。飲み込んでから喋れ」
ユウハ「むっ」
ユウハ「…………」モッモッモッモッ
ユウハ「…………」ゴクン
ユウハ「…………遅かったじゃない! 待ってたのよ!」
勇者「いや、特に待ち合わせした覚えはないけど」
ユウハ「バカね! こういうときは黙って『ううん、今来た所だよ』って言うのよ!」
勇者「それもなんか変じゃないか?」
ユウハ「あら? そ、そう?」
勇者「てかお前どんだけ食うんだよ……いや、クースの分も入ってるのか?」チラッ
クース「あ、気付いてたんだね。ちなみにボクは一皿しか食べてないヨッ☆」キラッ
勇者「お前も皿に埋もれてたしな……そしてユウハ、食い過ぎ」
ユウハ「え? 普通の量でしょ」キョトン
勇者「どこが!?」
クース「アハハッ☆ ぷち代は燃費の悪い体質だからね。たくさん食べないとすぐにお腹が空いてしまうのサッ☆」
ユウハ「まあね。そのおかげでアゴ奥義も使えるし、美味しいものもいっぱい食べられるのよ!」ドヤァ
勇者「すごいポジティブ」
ユウハ「ふふん!」
クース「キミが言ってくれた話を他の二人にしたら、とても感銘を受けたみたいでね。これからみんなでグルメ巡りをすることになったのサッ☆」キランッ
勇者「ん? なんか言ったっけか俺」
クース「ほら、キミが言ったんじゃないか。『グミ以外も食べろ』って」
勇者「いや、それかよ!? 普通のことすぎて完全に忘れてたわ!」
クース「そうだね。でも、二人にとってはそうじゃなかったってことサッ☆ ……もちろん、ボクにとってもね」
ニンザ「いやあ、何事も極端は良くないでござるな! ほどほどが一番でござる!」
ユウハ「次は何を食べようかしらね! お肉? 果物もいいわね!」
勇者「まあ、お前らがそれでいいなら俺は別に構わないけど……」
ニンザ「それで、王城では何を話してきたでござるか? 何か褒美でも賜ったでござるかな?」
勇者「いや、褒美とかは無かったな。……ってかそう考えると俺ってタダ働きじゃないか? なんかすげぇムカついてきた。やっぱ滅ぼそうかなこの国」
クース「まあまあ……それで、キングにはなんて言われたんだい?」
勇者「ああ……実は、お前らみたいなのがまだこの国にたくさん居るみたいでな……非常に不本意ではあるが、そいつらを咀嚼勇者として倒しに行くことになった」
ガタンッ
ユウハ「そ、そんな……!」サーッ
勇者「ユウハ?」
ユウハ「それじゃあ、アタシの『国内一周グルメツアー』は……お預け……?」
勇者「いや別に無理について来なくてもいいぞ?」
ユウハ「むっ」
勇者「お前らはお前らでやりたいことあるだろうし、なんなら王様に頼んで別行動を────」
ユウハ「何言ってんのよ! まさか、本気で置いていくつもりじゃないでしょうね!」ダンッ
ニンザ「そうでござる! 拙者達、受けた恩は必ず返す所存でござるよ!」ニンッ
クース「アハハッ☆ そういうわけで、ボクたちも連れて行ってもらえるカナッ☆」キランッ
勇者「え? いや、でも。その……本当にいいのか?」
ユウハ「……なによ。みなまで言わせるつもり?」ジロッ
勇者「………………はぁ。好きにしろ」
ユウハ「!」パアアッ
クース「それじゃ、今後の方針も決まったことだし、改めて自己紹介しようかナッ☆」キランッ
勇者「自己紹介?」
クース「ぷち代はキミに名前を教えたんだろう? なら、ボクたちも教えるのが道理というものさ! 今後の関係のためにもネッ☆」キランッ
ニンザ「そうでござるな! ついでに、咀嚼勇者殿の名前も教えて欲しいでござる!」
ユウハ「あ、それアタシも気になる!」
勇者「ああ。そういえば、まだ俺の名前は言ってなかったな」
クース「じゃあまずはボクから。ボクの名前はクスリ。茂木楠理(しげき くすり)だよ。クースでもクスリでも、好きな方で呼んでネッ☆」キランッ
ニンザ「拙者の名は仁寺屋召之介(にんじや めしのすけ)! 仁寺屋百兄弟の長男でござる! 時折ほかの兄弟と入れ替わるため、ニンジヤかニンザで呼んで欲しいでござる」
ユウハ「アタシはユウハ。ま、アタシはもう先に教えちゃったし、特に言うこともないわよね。ぷち代じゃなくて、ユウハって呼んでちょうだい」
勇者「ああ。じゃ、最後は俺だな。────俺の名前は、ナビス」
ナビス「那比須 巧太郎(なびす こうたろう)だ。これからよろしくな。クース。ニンザ。ユウハ」
-完-
0169以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 02:17:35.971ID:9EUoV+fe0
以上です。最後までお付き合い頂きありがとうございました。
食べ物は良く噛んで食べようね。
0170以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 02:19:53.253ID:6oDxr/hw0
乙楽しかった 続くのかな?
0171以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 02:24:12.700ID:9EUoV+fe0
>>170
ひとまずはこれで完結です。
一応残りの敵の設定も考えてあるので、気が向いたら続く……かも? 0172以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 02:25:19.560ID:rlb9Gf++0
ちょっとコンビニ行ってくる
0173以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします2022/03/12(土) 02:26:17.075ID:6oDxr/hw0